NPO法人子どもっとまつど 「子どもたちが様々な人と関わる場を通じて育つ地域を」

インタビュー:渡辺 洋子 さん

img_3039s 子ども・子育て関連の団体は松戸市内にはたくさんありますが、設立が1974年、今年で42年目を迎える「子どもっとまつど」は古さではどこにも引けを取らないと理事長の渡辺さん。
 「松戸子ども劇場として設立した1974年は高度経済成長期で今と比べるとまだまだのどかな時代でした。その後の数十年で急速にIT化が進み子どもを取り巻く環境が大きく変わりました。」と渡辺さんは振り返ります。

「共益組織」から「公益組織」へ

 物質的な豊かさが増す反面地域のコミュニティーが希薄となり子どもの人間形成への影響が心配されるようになりました。メンバーと何度も話し合いを重ね、会員家族のための「共益組織」から松戸のどんな子ども・家庭にもサービスを提供する「公益組織」に転換を図ったそうです。
 その後団体名も「子どもとともに」活動をしたいという思いを込め「子どもっとまつど」と変えました。

事業の柱は、「サンマ作戦」

 「子どもっとまつど」のミッションは、子どもの世界から激減した(サンマ=時間・空間・仲間)が保障される環境の中で子どもたちが思いっきり遊び、喧嘩もしながら、社会性を身につけ、生きる力を身につける場面をたくさん提供すること。現在は以下のように多様な体験の場を、他団体との協働を積極的に取り入れながら企画しています。

自然体験、ものづくり体験

img_1764s 2015年度から松戸里やま応援団の有志の皆さんと「自然アート体験教室」に取り組んでいます。里山で虫を見つけたり、竹工作に挑戦したり親子で自然を楽しんでもらう企画です。

心のバリアフリー「私もパティシエ?」

patisir_s 街の中を歩いてみるとバリアフリー化に向けてインフラの整備は進んできましたが「心のバリアフリー」はいかがでしょうか? 筋ジストロフィーで車いす生活のパティシエを講師にケーキづくり講座「私もパティシエ?」や、聴覚障がい者を講師に「耳が聞こえないってどんなこと?」、また、視覚障がい者を講師に「点字で名刺をつくろう!」など、子どもの時代に障がい者と交流することが偏見のない社会を作ることにつながると考え講座を企画しています。

なつやすみアートひろば

 「ネットの時代だからこそ五感を使ったコミュニケーション方法で遊んでみよう」と、松戸市内のアーティストがたくさん集まりアート体験教室を開催しています。
発表会では仲間との成果の共有を図ることで、新たなワクワク感が生まれることを期待しているそうです。

宿題寺子屋

 主に男性の高齢者福祉に取り組む団体とのコラボで、おじいちゃんと小学生の交流を図る居場所事業、「宿題寺子屋」に取り組んでいます。核家族化が進んだ今、道であいさつのできる親子(タテ)小学生同士(ヨコ)でもない、ナナメの関係づくりが大切です。子どもたちは将棋やボードゲームをしたり、公園に行って元気なおじいちゃんとサッカーやドッジボールを楽しんでいるそうです。

シニアだからこそできる「子ども・子育て支援」

 沢山の体験活動を支えるスタッフの多くはシニア世代でしかも活動歴20年以上が中心だそうです。「継続のことを考えると心配ですが、取りあえず今できることを精いっぱいやる」「立ち止まって考える余裕がないのが本音のところ」と渡辺さん。長年の経験を生かしたシニアだからこそ俯瞰して現実を見ることが出来るのでは? そんな子どもとの係わりも社会から求められているような気がしました。