NPO法人子育て支援ぽこら「パパ支援を通じて、子育て中の父母に寄り添う」

インタビュー:野村 由香 さん・大西 順子 さん

2006年に松戸市男女共同参画推進グループのひとつである一時保育ネットワークの有志が中心になり立ち上げました。
団体の名称「ぽこら」の由来は「少し・小さな」POCOというイタリア語からだそうです。小さな子どもたちと、この活動が少しずつ展開していくようにという願いをこめて名付けました。pocora_01
団体設立と同時にNPO法人化し、松戸市地域子育て支援事業「おやこDE広場 ゆうまつど」と「おやこDE広場 南花島」の2か所を受託。乳幼児の親子のための集いの場を開催しています。
今回は理事長の野村由香さんと副理事長の大西順子さんから、団体の立ち上げから現在に至るまでの思いと2010年から3年間にわたり実施された協働事業についてお話を伺いました。

子どもの幸せは、まずは保護者が幸せであること…

保護者が幸せでないと子どもは幸せになれない。母親の幸せは父親の子育てへの参画が必要ということを常々考えていた野村さんは、2009年市民活動助成事業「子育てパパの友だち作ろう事業」を企画しました。育児や子どもとの関わり方を学び実際の生活に役立ててもらう学びと交流の場の開催です。
しかしながら、当時はまだ「イクメン」という言葉の認知度も低く「なんで子育て支援でパパ支援なの?」と、「まだまだ男性の育児参加には拒否反応が強く、周囲の理解を求めるのが難しかった」と野村さん。男女共同参画を活動の基本理念に置く団体としては、苦しい現実に直面しました。

母子手帳があるのに父子手帳がない

その当時、日本各地で「パパ手帳」が作られ始めている中で、千葉県内ではどこも手掛けていないことがわかりました。
そこで、もう一歩踏み込んだ事業をしようと、女性センターとの協働事業「父親のための育児手帳作成」に取り組みました。一緒に育児するパートナーでありながら仕事に忙しい父親に対し、インターネットの時代ではあるけれど、まだまだ限られた時間で効果的に育児参加を促すための手帳を作成し普及をすることを目的に据えました。併せて男女共同参画、ワークライフバランスの理念も講座に取り入れ作成スタッフの養成も行いました。

「パパ手帳」の誕生

pocora_03「パパ手帳」の売りは「赤ちゃんを授かった時の気持ち」「はじめて赤ちゃんに会った時の気持ち」などその都度お父さんの思いを書き込めるページがあるところ。また、「地震その時」「子どもを預けたいとき」「公園情報」など必要な情報が盛り込まれています。
「この手帳があって夫婦で共通の話題が増えました」と、利用者からのうれしい声もありました。
2年目、3年目には「パパ手帳」を使った男性への育児支援事業に取り組み男女共同参画課主催「イクメン講座」などのお手伝いや講師をつとめました。「パパ手帳」初年度は1000部の発行でしたが、
3年間の協働事業終了後は女性センターの「男性への育児支援事業」として毎年2000部発行で、市内の高校の家庭科の授業の教材としても使われているなど安定的に市内各所に配布されるようになりました。

育休カフェ

pocora_02もう一つ力を入れている取り組みが「育児カフェ」。育休中の母親の不安に応えるもので子どもと離れる時の戸惑いや悩みなどを、先輩のママから話を聞きながら交流する。「子どものことではなく、自分自身の思いや気持ちを話せる場にしたい」と、この企画に取り組む大西さん。5人前後で、事前申込制、保育を付け安心して話せる環境づくりに努めているそうです。
お話をお聞きして、堅実にそして着実な歩みが感じられる「子育て支援ぽこら」さんでした。