松戸子どもの文化連絡会「子どもたちに身近な体験を届け、文化を紡ぐ」

インタビュー:滝川 幸子 さん

2002年「ちば県人形劇まつり in まつど」から始まった

kobunren_01 設立のきっかけは、2002年の「ちば県人形劇まつりinまつど」。県内各地の人形劇に関わる民間団体・ボランティアが集まったイベントで、松戸市でもボランティアグループ・NPOが集まり、財団法人松戸市おはなしキャラバン(当時・2009年解散)が事務局となって開催した。「子どもたちが人形劇や絵本にふれて、親子で子どもの文化的なことに関心を持ってもらいたい」―集った人々の想いとネットワークで、森のホール21に7000人の親子・家族が集まり、松戸の文化界だけでなく政治家からも注目を浴びる大盛況だった。

 5月のまつり当日から、集まった実行委員で何かできないか-子どもの文化を豊かに、子育て中の親の支援をしよう、と有志10人余りが集い、1年間かけてどんな活動をするかを練り、2003年11月に松戸子どもの文化連絡会が発足した。

人と人の決意がつながり、広がっていく

 代表の﨑野さんは、絵本の読み聞かせのボランティア「グループ虹」で30年以上活動している。子供会からスタートして今に続く活動の原点は、自身の体験。関西から引っ越してきたばかりの時、隣近所のおばさんたちがとっても世話を焼いてくれ、心強かった。自分が子育てを終わってから、「おせっかいおばさん」を自分がやることで、子育てで困っていることに悩む子育て中の親の支えになるのでは、という想いだ。

kobunren_02 今回インタビューを受けていただいた事務局長の滝川さんも立ち上げメンバーの一人。当時は、松戸市おはなしキャラバンのスタッフだった。今も毎年開催している「人形劇・おはなし・あそびのひろば」では、人形劇やおはなしの読み聞かせ、昔あそびが親子で体験できるが、一年に一度でも触れて感じたことをきっかけに、子どもたちが心豊かに育っていってほしいと語る。活動を重ねる中で、前記の通り松戸市おはなしキャラバンは2009年に財団解散となり人形劇を松戸市の中で日常に触れる機会がなくなってしまったが、輪が少しずつ広がっていく形での活動を進めている。

 つどいのひろば事業が、おはなしキャラバン主催ではなくなり、委託費による工面がつかなくなったときのエピソードを滝川さんから伺った-「『委託費が見込めないため、手弁当でやらなければいけなくなりました。ついては出演される団体の皆さん自分たちで出していただけませんか?』と言った時、お金が出ないならやめよう、ではなく、ぜひ一緒にやりましょう、とつながり、今も一緒に活動しています。ボランティアで十数団体が来ている、団体をつなげる役になれるかな、と思います。」

活動の広がり・共に汗を流すこと

 松戸子どもの文化連絡会は2008年・2009年と松戸市協働事業を図書館と実施。子どもへの読書普及活動団体への聞き取り調査の内容や、「子ども読書フェスタ」イベントの成果は、松戸市子ども読書推進センターの開設・事業を通じて、今の松戸の文化行政につながっている。

kobunren_03 会の強みは、いろいろな団体・場で活動している人たちが集っていること。地域の人たちが集まっているので、中には自分の孫や、お嫁さんに来てもらって喜んでもらえることもあるという。最近はお父さんの子育て支援で「パパと楽しむ読書体験」として、絵本を親子で楽しむ取り組みもはじめたところだ。

 「熱い想いを持っている個々が集まって続く活動。ずっとやっていて大変かなと思っても、解散しましょうにはならず、続いているんです。」滝川さんの言葉に市民活動の脈動を感じるインタビューだった。